メタリカ:真実の瞬間

r-h-t2005-08-10


スラッシャーやメタル小僧にロック野郎は、やっぱり「...and Justice for All」あたりまでのメタリカがいいというのだろう。その気持ちは痛いほどよくわかる。

だけど、あえて、あえてやはりこの人たちの最高峰はブラックアルバムと言いたい。いくら速くなかろうがメロディアスであろうが、この完成度に「真のメタリカを知らん」とか何とか言われようとベタだろうと、やっぱこれ最強。

「ブラックアルバム」のツアーで城ホールに来た時(多分93年か94年)のコンサートに行った。そこにはスラッシュメタルバンドというよりもスタジアムクラスのエンターテイメントショーをきちんとやるメタリカの姿があった。多少寂しい気もしたが、同じ頃にガンズンが東京ドームで同様にきちんと整備されたエンターテイメント・ロック・ショーをやったときに感じたようなガッカリ感は無かった。

先日、東京出張中にたまたま半日時間があったのでメタリカ:真実の瞬間]というドキュメンタリー映画を見た。特に最近はメタリカを好んで聴いているというわけでもなく、アルバムを購入しているというわけでもないのだが、何となく。

で、私はこの映画を見て爆笑した。映画館の中で笑っていたのは、私だけだったが。

内容は前述した「ブラックアルバム」以降、頂点を極めた感のあるバンドが「セイント・アンガー」のレコーディングに入った頃からはじまる。ここのあたりからメタリカは様々な問題やトラブルを抱えるようになる。

いきなりベースのジェイソン脱退。ヘコむ残された3人。この難局を乗り越えるために打たれた手は、なんとカウンセラーにセラピーを施してもらう事。しかも月給4万ドル(!)。

更にこのカウンセラー。セラピーの一環として彼らがクビにした初代ベーシスト・デイヴと彼らを引き合わせるというショック療法までやらかす始末。「あの後から俺わぁ〜」と恨み節前回にまくし立てるデイヴに、メンバー醒めた引きつり笑い。

で、ヴォーカルのジェームスはアル中になってしまう。何とか入院加療の甲斐あって無事復帰するものの、そこにメタルマスターの面影ゼロ。夕方になると「あ、もうこんな時間。帰って子供とゴハン食べなきゃ」とレコーディングを早退。その上、「就労時間は4時間にしてくれ」などと言いはじめるジェームズに、キレたドラムのラーズが言い放った言葉が、

「テメエは公務員か!?」

公務員が聞いたら絶対怒ってくるぞ。

その後も、新ベーシストのオーディションで、前ベーシストですらあまりの曲のテンポにピックでしか弾けなかった曲を指で弾いたという理由でどこのだれともわからんアンちゃんを採用するなど、もうやりたい放題。

シリアスを狙ったようにも見えるが、どう考えてもこりゃよくできたコントにしか見えん。みんなよく笑わずに真剣に見ていられるなあ。ヲイ、オマエのことだよ。ライブシーンでヘッドバンキングしやがった俺の前に座ってた、AC/DCのTシャツ着てロンゲ(だが薄毛)で体脂肪率25%超(と思われる)のオヤジよ。